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多根総合病院|社会医療法人きつこう会

急性腹症科

急性腹症について

急性腹症とは、急に発症した腹痛の中で緊急手術を含む迅速な対応を要する腹部疾患群のことを言います。緊急手術や緊急内視鏡などの処置を要する病態であるにもかかわらず、後述するような理由で、受け入れられる病院が多くないのが現状です。

急性腹症科の特徴

①24時間365日断らない

大阪市内の腹部救急のたらい回しをゼロにすることを目標に、当院急性腹症科は、外科医が“急性腹症ホットライン”、消化器内科医が“吐下血ホットライン”を24時間365日持ち、“断らない救急”をモットーに日夜診療を行っています。救急隊からだけでなく大阪市内の他の病院からも緊急手術・緊急内視鏡の必要な急性腹症の依頼を多く受け、地域医療に貢献しています。

②手術創の小さな“腹腔鏡手術”の導入

最近、よくテレビなどで小さな傷の手術、“腹腔鏡手術”という言葉を耳にされると思います。手術創が小さいので痛みも少なく、術後の回復も早いのが特徴です。がん手術に関しては積極的に腹腔鏡手術を導入している病院が増えています。ところが急性腹症に関しては、腹腔鏡手術の良さを理解していながら、導入できていない施設が多く、特に夜間・土日に施行できる施設はないといっても過言ではありません。当院では腹腔鏡手術に精通した外科医が手術のできる環境を整えており、急性腹症に対しても腹腔鏡手術を導入、患者さんに喜んでいただいています。

③消化器内科と消化器外科の連携

近年、内視鏡の進歩により今まで外科的手術で行っていた治療の一部が、消化器内科医による内視鏡治療で低侵襲に治すことができるようになっています。当院の消化器内科は高度な技術と最先端の機器を揃えており、消化管出血・急性胆管炎・異物誤飲・S状結腸軸捻転・閉塞性大腸がんなど様々な急性腹症に緊急内視鏡治療で対応します。当院は外科と内科の連携が良好であり、初療に当たる医師が外科医でも内科医でも患者さんの病状について両科で相談・協力をし、必要十分かつ可能な限り低侵襲な治療を提供しています。

急性腹症科のポリシー

現在、消化器外科の中心は悪性疾患、いわゆる“がん”であり、特に大学病院や独立行政法人病院などでは定期のがん手術でパンク状態にあります
このような現状のため、緊急手術を要することの多い急性腹症の救急車が受け入れを断られる“たらい回し”が生じたり、夜間・土日の手術が施行できないという問題が生じたりしています。さらに消化器外科手術のメインはあくまでがん手術であり、急性腹症手術は多忙のなかで片手間に行われている現状もあります。

また、我が国の消化器外科医は手術以外にも内視鏡などの検査や抗がん剤などの化学療法、緩和ケアなど多様な仕事があり、多くの外科医が非常に多忙です。さらに当直明けでも帰宅することは難しく、長時間労働のなか、日々の手術を行っていますが、当直明けの手術は危険であると外科医は感じています。

我々はこのような日本の急性腹症診療の問題点を打破するために、日々の診療を可能な限り急性腹症に特化し、“buddy(バディ)”と呼ぶにふさわしい医師同士で協力し合って当直明けの帰宅を基本としています。このように体力・精神力の両方が充実した状態での診療を実行しています。

急性腹症科 医師紹介

淺井 哲
淺井 哲
あさい さとし
消化器内科・内視鏡センター部長
専門分野
  • 炎症性腸疾患(IBD)
  • 消化管内視鏡診断/治療
  • 肝胆膵疾患
  • 消化器全般
  • 総合内科
資格・専門医・指導医等
  • 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医
  • 日本消化器病学会専門医・指導医
  • 日本消化管学会胃腸科専門医・指導医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
  • 日本腹部救急医学会腹部救急認定医
  • 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
  • 身体障害者福祉法指定医(肝臓機能障害)
  • がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修(PEACE)修了
  • 日本腹部救急医学会評議員
  • 日本消化器内視鏡学会近畿支部評議員
  • 日本消化器病学会近畿支部評議員
  • 日本消化器内視鏡学会学術評議員
  • 国内FJGES(Fellow of JGES)
所属
  • 日本消化器内視鏡学会
  • 日本消化器病学会
  • 日本腹部救急医学会
  • 日本超音波医学会
  • 日本膵臓学会
  • 日本胆道学会
  • 日本消化管学会
メッセージ
内視鏡のスペシャリストとして、苦痛なく短時間で正確に検査や治療ができる高い技術の提供を目指しております。
好きな言葉は「敵は己の中に」です。趣味はフットサル、トライアスロン、ゴルフ、サーフィン、ボルダリングです。
赤峰 瑛介
赤峰 瑛介
あかみね えいすけ
消化器内科副部長
専門分野
  • 消化管内視鏡診断/治療
  • 消化器全般
  • 総合内科
資格・専門医・指導医等
  • 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医
  • 日本消化器内視鏡学会指導医・専門医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本消化管学会胃腸科専門医
  • がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修(PEACE)修了
所属
  • 日本消化器内視鏡学会
  • 日本消化器病学会
  • 日本腹部救急医学会
  • 日本消化管学会
メッセージ
「皆さまに安心して受けていただける内視鏡検査」をモットーに、日々奮闘しています。
趣味は映画観賞、ゲーム、サッカーです。
淺井 哲
松尾 健司
まつお けんじ
消化器内科医長
専門分野
  • 胆膵疾患
  • 消化器全般
資格・専門医・指導医等
  • 日本消化器内視鏡学会専門医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本内科学会認定内科医
  • がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修(PEACE)修了
所属
  • 日本消化器内視鏡学会
  • 日本消化器病学会
  • 日本腹部救急医学会
メッセージ
患者さん、そのご家族の方にも寄り添いながら、ベストな医療が提供できるよう頑張りたいと思います。
小川 稔
小川 稔
おがわ みのる
多根総合病院 院長
専門分野
  • 外科全般
  • 大腸肛門外科
資格・専門医・指導医等
  • 大阪大学医学博士
  • 日本外科学会専門医
  • 日本消化器外科認定医・専門医
所属
  • 日本外科学会
  • 日本消化器外科学会
  • 日本臨床外科学会
  • 日本内視鏡外科学会
  • 日本消化器病学会
  • 日本ヘルニア学会
森 琢児
森 琢児
もり たくじ
副院長 / 外科部長 / 卒後臨床研修センター長
専門分野
  • 消化器外科(特に上部消化管)
  • 腹腔鏡外科治療(特に腹腔鏡下胃切除)
  • 内分泌外科
資格・専門医・指導医等
  • 大阪大学医学博士
  • 大阪公立大学臨床教授
  • 日本外科学会 認定医・専門医・指導医
  • 日本消化器外科学会 認定医・専門医・指導医
  • 日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医
  • 日本がん治療認定医機構・がん治療認定医
  • 日本消化器病学会専門医・指導医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
  • 日本食道学会食道科認定医
  • 日本乳癌学会認定医
  • Da Vinci surgical system 術者認定
  • マンモグラフィ読影資格医
  • 日本DMAT
  • 大阪DMAT
  • 米国外科学会外傷トレーニングコース(A.T.O.M.)修了
  • JATEC修了
所属
  • 日本外科学会
  • 日本消化器外科学会
  • 日本消化器病学会
  • 日本胃がん学会
  • 日本食道学会
  • 日本ヘルニア学会
  • 乳がん学会
  • 日本静脈経腸栄養学会
  • 日本短期滞在外科手術研究会
メッセージ
患者さんの立場に立った診療を心掛けています。好きな言葉は一期一会です。
趣味はテニスです。 【2005 米国Santa Monica Tennis Tournament優勝/2005 米国Wetcher Tennis Tournament3位/2008 大阪オープンベテラン(40歳以上)優勝/2009関西オープンベテラン(40歳以上)ベスト16/2009全日本ローンコート選手権出場】
加藤 弘記
加藤 弘記
かとう ひろき
医員
専門分野
  • 外科一般
資格・専門医・指導医等
  • 日本外科学会専門医
  • Da Vinci surgical system 術者認定
  • Da Vinci surgical system 助手認定
所属
  • 日本外科学会
  • 日本消化器外科学会
  • 日本臨床外科学会
  • 日本胃癌学会
メッセージ
患者さんにとって最善の治療を提供できるよう努力していきたいと思います。

急性腹症科の実績

急性腹症に対する緊急手術症例数は毎年増加傾向にあり、2019年は1年間で299例で、1か月平均約25例の緊急手術を施行しました。ほぼ毎日のペースで緊急手術を行っており、“緊急手術に慣れている”と言えます。

2019年の急性腹症緊急手術件数と内訳

2019年の急性腹症緊急手術件数と内訳

急性虫垂炎

俗に言う“もうちょう”です。近年、抗生物質の進歩により手術せずに治ることもありますが、再発の可能性があったり、若い女性の方では繰り返す虫垂炎で不妊の危険があったりと今でも手術加療は重要な治療法です。

消化管穿孔

食べた物の通り道である消化管に穴が開く(穿孔:せんこう)病気です。食道・胃・十二指腸・小腸・大腸と様々な消化管での穿孔があります。基本的には緊急手術が確実な治療法です。特に大腸穿孔は今でも経過によっては死に至る恐ろしい病気です。

腸閉塞

食べ物の流れが悪くなり、嘔吐や腹痛が出現します。腸の通りが悪くなったり(機械的腸閉塞)、腸の動きが悪くなったり(機能的腸閉塞)と様々な原因で起こります。機械的腸閉塞の中でも腸がねじれたり、絞めつけられたりして腸が腐ってくる腸閉塞に対する唯一の治療法は緊急手術です。

そけいヘルニア嵌頓

そけいヘルニアとは俗に言う“だっちょう”です。嵌頓(かんとん)とは出た腸がもとに戻らなくなる状態を言います。 もとに戻らなくなった腸は腐ってきますので、緊急手術にて解除させる必要があります。当院での定期手術としてのそけいヘルニア手術件数は非常に多く、嵌頓症例にも自信を持って手術を行っています。

急性胆のう炎

胆のうと呼ばれる臓器に急激に炎症が生じる病気で、多くの原因は胆嚢結石です。 日本腹部救急医学会などが定めた“急性胆のう炎診療ガイドライン”でも早期の手術(胆のう摘出術)を推奨しており、当科では夜間・土日を問わず可能な限り腹腔鏡手術にて対応しています。

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